ギース(Geese)おすすめ名盤『Getting Killed』レビュー|変幻自在なサウンドが鳴らす2025年インディ・ロックの現在地

ギース(Geese)おすすめ名盤『Getting Killed』レビュー|変幻自在なサウンドが鳴らす2025年インディ・ロックの現在地 Indie Rock / Indie Pop

Geese の『Getting Killed』は、Partisan Records から2025年にリリースされた4thアルバムだ。

2025年1月、ロサンゼルスの空は山火事の煙と灰で覆われていた。その空の下で、バンドは10日間・毎日14時間のセッションを行い、このアルバムを録音した。オーバーダビングの時間はほとんどない。煙が窓の外を漂う中で録音されたこのアルバムの焦燥感は、その10日間の密度そのものだ。

プロデューサーはポップ・ヒップホップ畑の Kenny Beats。その組み合わせが機能した理由を Cameron Winter(Vo、Key、Gt)はこう語っている。「彼は不完全さをそのままにしておく姿勢を持っていた。それがバンドに『やりすぎることへの許可』を与えてくれた」。

音楽性

前作『3D Country』のオルタナティブ・カントリーやアート・ロック的な折衷主義から踏み出し、今作はより原始的な質感に向かっている。

ガレージ・ロックのリフの上にウクライナ合唱団のサンプルが重なり、ヒスノイズを発するドラムマシンの背後でギターが軋む。子守唄のような曲と激しいミニマリズムの実験が平然と同居していて、どのジャンル名も途中で追いつかなくなる。

このアルバム最大の個性は Cameron Winter のボーカルだ。抑制されたクルーニングから喉を引き裂くような絶叫まで、同じ曲の中で平然と移行する。

批評家たちは Thom Yorke、Julian Casablancas、Mark E. Smith の声の系譜を引き合いに出すが、どれも部分的にしか当てはまらない。そのどれでもないところに、Winter の声の強さがある。

ミックス面では、Kenny Beats が「磨かないこと」を選んだ判断がこのアルバムに固有の質感を与えた。ボーカルがディレイに溶け込み、楽器が予告なく切り込んでくる。「不完全さ」が個性になっている。

「Trinidad」はオープナーとして完璧な機能を果たす。フィルターをかけたギターと Winter の叫び声から始まり、ファンキーなベースラインとドラムマシンが混在する中、JPEGMAFIA が「There’s a bomb in my car」と叫ぶ——このアルバムが何であるかを最初の数分で叩きつけてくる。

「Cobra」は最もシングルっぽいのに最もただごとじゃない終わり方をする。「Baby, let me wash your feet forever」という囁くような歌詞が、後半の爆発との落差を作っている。

「Au Pays du Cocaine」はアルバムのクライマックスで、Winter のバリトンが最も伸びやかに前に出る。アレンジが珍しく空白を作り、共有された不満の時代における「それでも一緒にいよう」というメッセージを、このアルバムで最も柔らかく届ける。

まとめ

「Getting Killed(殺されていく)」というタイトルは終わりを示しているようで、聴くと再生の記録に聴こえる。

煙の中で10日間かけて爆発させたエネルギーが、そのまま封じ込められている。

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